QRTは投資詐欺?香港警察も公表した手口と返金請求の法的根拠を解説

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QRT投資詐欺の全体像のインフォグラフィック

本件のポイント

  • QRT(Qube Research & Technologies)はロンドンに拠点を置く実在の運用会社です。同社は公式に、個人投資家向けのサービスもアプリも提供していないと表明しています。
  • 勧誘に使われているサイト(spdeedtdts06am.com)は、正規サイト(qube-rt.com)とは別物です。ドメインが登録されたのは2026年5月で、登録者情報も公開されていません。
  • 送金してしまった場合でも、返金を目指せる場合があります。ただし、被害回復が必ず保証されるものではありません。

「LINEのグループで教わったとおりにQRTへ入金したのに、出金だけができない」

「利益は出ているはずなのに、引き出すには税金を先に払えと言われた」

もし今そのような状況にあるなら、QRTを名乗るその勧誘は、投資詐欺である可能性が高いと考えられます

QRTという会社そのものは実在します。ロンドンに本社を置く運用会社です。ただしその会社は、日本の個人にLINEで投資をすすめる業態ではありません。名前とロゴだけを借りた、別の誰かが動いていると見るのが自然です。

投資詐欺の被害は、判断を誤った人が悪いのではありません。信じてしまうように何重にも設計された仕組みが先にあり、そこへ入ってしまっただけです。同じ流れで被害に遭った方は、決して少なくありません。

この記事では、詐欺ったー編集部が調べた内容をもとに、QRTを名乗る勧誘で何が起きているのかを整理します。香港の警察がすでに公表している事例や、金融庁の資料から見えてくる背景まで踏み込んで解説します。

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目次

QRTを名乗る投資勧誘では何が起きているのか

QRTを名乗る投資勧誘の中身は、実在企業の名前を借りた資金集めであると考えられます。会社そのものと、その名前を使う勧誘とは、切り分けて見る必要があります。

QRT(Qube Research & Technologies)は、ロンドンに本社を置く運用会社です。2016年に大手金融機関の一部門として立ち上がり、2018年に経営陣による買収を経て独立した経緯があります。データと技術を軸に運用を行う、いわゆるクオンツ系の会社として知られています。公式サイトは qube-rt.com です。

ここで押さえておきたいのは、この会社が扱う相手です。QRTのグループ各社は、英国の金融行為規制機構をはじめ、香港・フランス・シンガポール・ドバイ・スイスの各当局の規制下にあります。こうした運用会社が向き合う相手は機関投資家などであり、SNSで見つけた個人ではありません。個人にLINEで口座開設や送金を案内する業態そのものが、成り立たないのです。

一方、勧誘で案内されているサイトのアドレスは spdeedtdts06am.com です。文字列のどこにも「QRT」や「Qube」は入っていません。それでも画面を開くと、正規のQRTと同じ六角形のロゴと「QRT」の文字が現れます。表示は日本語で、チャート機能や高速売買、AIによる自動売買といった、個人向け取引アプリを思わせる項目が並びます。日本の個人に見せることを前提に作り込まれている点が、この偽サイトの特徴です。

つまり本記事で扱うのは、QRTという会社の問題ではありません。その名前を無断で使う側の問題です。正規のQRTは、名称を悪用されている立場にあたります。

参考:QRT(Qube Research & Technologies)をかたる投資詐欺の手口と対処法|返金の可能性を解説

QRTのロゴを流用した偽サイト(spdeedtdts06am.com)のトップ画面
出典:QRTのロゴを流用した偽サイト(spdeedtdts06am.com)のトップ画面

QRTを名乗る勧誘の手口を時系列で解説

QRTを名乗る勧誘には、決まった進み方があります。段階ごとに見ていくと、どこで判断を求められていたのかがはっきりします。


①SNSの投稿・広告から「株式投資の勉強会」へ招かれる

入口になるのは、SNSで流れてくる投稿や広告です。相場の解説や銘柄の見通しといった、一見まともな内容が使われます。そこから「勉強会」「研究会」などと名づけられたLINEグループへ案内される流れです。

ここで効いてくるのが、グループ内の役割分担です。助言役の「先生」、進行役のアシスタント、そして利益報告を書き込む一般参加者風のアカウントが、あらかじめ配置されています。実際には、その多くが同じ側の人物である場合があります。

金融庁も、この構図について注意を呼びかけています。グループ内で複数のアカウントが投資の成功を装い、参加者が投資したくなるよう仕向けるケースがあるという内容です(金融庁 投資詐欺等に関する相談事例等)。閉じた空間の中で、外から検証できない情報だけが積み上がっていきます。


②QRT名義のサイト・アプリで利益が出ているように見せられる

信頼が固まった段階で、QRTを名乗るサイトやアプリへ誘導されます。ここで求められるのが、銀行振込による入金です。

指定される振込先には、共通する特徴があります。会社名ではなく個人名義の口座であったり、サイトの名称とまったく関係のない法人名義の口座であったり、振り込むたびに口座が変わったりする点です。正規の金融サービスで、こうした指定が行われることはまずありません。

入金後、画面上の残高は増えていきます。ただし、その数字が実際の取引を反映しているとは限りません。表示は、サイトを運営する側がいくらでも書き換えられます。少額の出金だけは通ることもありますが、それは信用を作るための工程である場合があります。


③出金しようとすると税金・手数料・保証金を求められる

異変が起きるのは、まとまった金額を出金しようとした時です。「海外取引税」「出金手数料」「口座凍結の解除費用」「保証金」といった名目で、追加の入金を求められます。

ここが分かれ目になります。求められた金額を払っても、出金は実行されません。別の名目が用意され、要求は繰り返されます。やがて担当者もグループも連絡が取れなくなり、サイト自体が閉じられることもあります。

すでに追加の入金を求められている段階であれば、その支払いには応じないでください。追加で支払った分は、被害額をそのまま増やす結果になります。出金できない理由として提示されている説明は、送金を続けさせるために用意されたものである可能性が高いと考えられます。

【編集部独自調査】QRTのなりすましは単発の事案ではない

QRTを名乗る勧誘を調べていくと、これが一件だけの出来事ではないことが見えてきます。編集部が確認した4つの事実を順に示します。


金融庁の資料に並ぶ「実在するクオンツ・高速取引会社の名を騙る」系譜

金融庁は、無登録で金融商品取引業を行っているとして警告書を出した相手の名称を公表しています(金融庁 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等)。その一覧を編集部で確認したところ、ある傾向が浮かび上がりました。

実在する海外のクオンツ運用会社や高速取引会社の商号を騙る業者が、繰り返し警告の対象になっているのです。

令和7年10月から令和8年5月にかけて公表された分だけでも、次のような社名が確認できます。HRT SG、Headlands Technologies、Virtu Financial Singapore、PDT Partners、Nine Mile Financial、Scientech Research、Two Sigma Securities、Optiver Australia、Eagle Seven、D1 Capital Partners、Viking Global Investors、Susquehanna Pacific、Schonfeld Strategic Advisors Japan。いずれも実在する企業の名称です。

この一覧には、もう一つ興味深い記載があります。高速取引を行う登録業者は、新規上場株の配分に関与できる立場にありません。それにもかかわらず、名前を騙った業者が「上場株の配分に関われる」と虚偽の説明をしていた、と繰り返し指摘されているのです。「専門的な立場だから、一般には回ってこない話を回せる」という筋書きが、使い回されていることがうかがえます。

詐欺ったーでも、同じ構図の事案を継続して扱ってきました。たとえばHRTを名乗る投資詐欺のケースも、実在する高速取引会社の名称が使われた事例です。QRTの件は、この流れの中に位置づけて見るべき事案だと考えられます。

なお、編集部が確認した範囲では、QRTおよびQube Research & Technologiesの名称は、この無登録業者の一覧には掲載されていませんでした。ただし、掲載がないことは安全を意味しません。この一覧は、警告書を出した時点で無登録営業が確認できた相手に限って載せられているものです。金融庁自身も、掲載されていない者が無登録営業に該当する行為を行っていることはあり得ると注記しています。


香港の警察は偽アプリ「Qube HK」による被害を公表している

QRTの名称が悪用されているのは、日本国内に限りません。香港警察の詐欺対策部門であるADCC(反詐騙協調中心)が、2025年6月25日付でQRTを装った事案を公表しています。

公表された内容は具体的です。SNSに投資情報の投稿を出して「投資交流グループ」へ人を集め、専門家を装った人物が高い収益率を掲げた運用計画を提示する。グループ内では協力役のアカウントが一斉に反応し、盛り上がっているように見せる。そのうえで、「Qube HK」という名称の投資アプリをダウンロードさせ、指定口座へ送金させるという流れです。被害者が異変に気づくのは、出金できなくなった時点でした。

ADCCは手口の細部にも触れています。信用を得るために本物の投資推奨を混ぜること、初期にわずかな利益を出させて自信を持たせること、そして「AIが売買のタイミングを的確に捉える」と説明して引き込むことです。専門職に就いていた被害者が、香港ドルで780万に相当する額を失った事例も示されています。詳しくはADCCの公表ページで確認できます。

この香港の事案と、日本国内で確認されている勧誘との直接の関係は確認できていません。したがって同一のグループによるものだと断定はしません。ただし、AIによる自動売買を掲げる点や、グループ内で利益を演出する点など、共通する要素は複数あります。国境を越えて同じ台本が使われている可能性は、頭に入れておく価値があるでしょう。


QRT公式は「在宅ワークの勧誘」にまで警告を出している

正規のQRTは、公式サイトになりすまし被害への警告ページを設けています。この内容を読むと、悪用の広がりが見えてきます。

まず同社は、個人投資家向けのサービスを一切提供していないと明言しています。モバイル取引アプリなどの提供もありません。株式や暗号資産への直接投資を持ちかけることも、こちらから連絡を取ることもないとしています。

注目したいのは、警告が投資勧誘だけに向けられていない点です。同社は、在宅ワークを含む求人の話を持ちかける手口についても、あわせて注意を呼びかけています。QRTの名前は、投資の入口としてだけでなく、仕事の入口としても使われているということです。

勧誘に悪用されるツールも実名で挙げられています。WhatsApp、Telegram、Signal、Facebook、Instagram、WeChat、そして小紅書です。これらを通じた勧誘や求人の案内を、同社は行わないとしています。求人については、公式のLinkedInページか、正規の人材会社、または同社の社員を通じて案内されるのみです。

そして実務上もっとも役に立つのが、確認手段が用意されている点です。QRTを名乗る連絡を受けた場合、その内容やスクリーンショットを [email protected] へ転送すれば、真偽を確認してもらえます。同社が公式に運用しているのは、ウェブサイトと LinkedIn、そして「QRT量化」という名称のWeChatアカウントの3つのみです。詳細はQRT公式のなりすまし警告ページに記載されています。

Qube Research Technologies の公式サイト(qube-rt.com)
出典:Qube Research Technologies の公式サイト(qube-rt.com)

偽サイトのドメイン情報が示す「追跡されない設計」

勧誘に使われている spdeedtdts06am.com について、編集部でドメインの登録情報を確認しました。登録日は2026年5月10日、登録を扱っているのはGnameという事業者で、登録者の情報は非公開とされ、国コードにはCNが記載されています。

ここから読み取るべきは、運用期間の短さそのものよりも、「誰が運営しているのかを外部からたどれない状態が、あらかじめ作られている」という点です。正規のQRTが、本社の所在から各国の監督当局まで公開しているのとは対照的です。運営者にたどり着けない構造は、それ自体が判断材料になります。

QRTの口コミ・評判が見つからないのはなぜ?

QRTについて調べている方の多くが、体験談や評判を探していると思います。結論からお伝えすると、編集部がX(旧Twitter)、Yahoo!知恵袋、および被害情報を扱う掲示板の3つの経路を調査した範囲では、QRTを名乗る勧誘に関する具体的な投稿は確認できませんでした。

ただし、ここで考えたいのは「なぜ見つからないのか」です。理由として、次の3つが考えられます。

1つ目は、案件が新しいことです。勧誘に使われているドメインが登録されたのは2026年5月で、被害が表面化してからまだ日が浅い段階にあります。

2つ目は、勧誘の場が閉じていることです。この手口は、SNSからLINEグループへ移したあと、その内部で完結します。外から検索できる場所に情報が出てこない構造になっているため、口コミが蓄積されにくいのです。

3つ目は、被害者の心理です。投資で損をしたことを公の場に書き込むのは、簡単なことではありません。「自分が判断を誤った」と受け止めてしまい、誰にも言えないまま抱え込む方が多くいらっしゃいます。

したがって、口コミが見当たらないことは、安全性の裏づけにはなりません。むしろ新しい案件ほど情報が出そろっておらず、判断材料が乏しい状態に置かれます。評判の有無ではなく、これまで見てきた運営者情報や公式の注意喚起といった、検証できる事実から判断することをおすすめします。

すでに送金してしまった、あるいは追加の入金を求められているという場合は、QRTの投資詐欺返金についてART法律事務所に無料で相談するという方法があります。

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「QRT」を名乗る連絡が本物かどうか確かめる方法

QRTを名乗る連絡が正規のものかどうかは、QRT自身が用意している手段を使えば確認できます。推測で判断する必要はありません。

もっとも確実なのは、公式の照会窓口に送って聞いてしまうことです。QRTは、同社を名乗る連絡を受け取った場合、その内容やスクリーンショットを [email protected] へ転送するよう案内しています。届いた勧誘が本物かどうかを、当の会社に直接確かめられるということです。

あわせて、次の3点も判断材料になります。

1つ目は、連絡してきた経路です。QRTが公式に運用しているのは、ウェブサイトとLinkedIn、そして「QRT量化」という名称のWeChatアカウントの3つに限られます。したがって、LINEをはじめとするメッセージアプリやSNSから届いた投資の話は、この3つのいずれにも当てはまりません。QRT自身も、こうしたSNSを通じた勧誘は行わないと明言しています。

2つ目は、案内されたページのアドレスです。正規のサイトは qube-rt.com です。会社名で検索して出てくるアドレスと、勧誘者から送られてきたアドレスが一致しないのであれば、その時点で別物と考えるべきでしょう。

3つ目は、振込先の名義です。個人名義の口座や、サイトの名称と無関係な法人名義の口座を指定された場合は、注意が必要です。国内の居住者に対して投資の勧誘を業として行うには、日本での金融商品取引業の登録が求められます(金融商品取引法/e-Gov法令検索)。登録の有無は、金融庁の登録業者一覧で確認できます。

QRTの被害に遭ったらすべきことは?

すでに送金してしまった場合でも、できることは残されています。順序としては、証拠を残す、送金を止める、金融機関に伝える、専門家につなぐ、という流れになります。


1. 証拠を保全する

最初にすべきなのが記録の保存です。相手側は、ある日を境にグループを解散し、サイトを閉じ、アカウントを消します。消えてしまってからでは、後から集めることができません。

QRTのケースで残しておきたいものとして、次のようなものが挙げられます。QRTを名乗るサイトやアプリの画面(トップ画面、取引画面、残高表示など)、勧誘を受けたLINEグループと個別トークのやり取り、「先生」やアシスタントを名乗った人物のアカウント情報、指定された振込先の口座名義と口座番号、実際に振り込んだ日時と金額がわかる明細、そして最初に接触したSNSの投稿や広告の画面です。画面の保存は、日付が入る形で撮っておくと後の説明がしやすくなります。


2. 追加の送金には応じない

「税金を払えば出金できる」「保証金を入れれば凍結が解ける」といった案内が来ていても、その支払いに応じない、という選択があります。

支払ったことで出金に至ったという報告は、編集部が調べた範囲では見当たりませんでした。別の名目が次々と用意され、要求が続く流れになります。すでに払ってしまった分を取り戻したい気持ちから、あと一度だけ、と考えてしまいがちですが、その一度が被害額をさらに押し上げます。ここで止めることが、損失を確定させないための現実的な手段です。


3. 金融機関に連絡する

振込で送金した場合は、利用した銀行へ連絡するという方法があります。送金先の口座に資金が残っている段階であれば、口座の凍結によって資金の流出を止められる可能性があるためです。

この手続きの根拠になっているのが振り込め詐欺救済法(e-Gov法令検索)です。詳しくは次の章で説明します。


4. 弁護士や警察に相談するという方法がある

状況の整理がついたら、専門家に相談するという選択肢があります。返金を目指すのであれば法律の専門家へ、刑事事件としての対応を求めるのであれば警察へ、という使い分けになります。警察の相談先としては、サイバー事案に関する相談窓口(警察庁)が案内されています。

資金は時間の経過とともに移動していきます。そのため早い段階で動けるかどうかが結果に影響します。ただし、早く動いたからといって被害回復が必ず保証されるものではありません。この点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

QRTの被害で返金請求はできる?法的根拠と注意点

QRTを名乗る勧誘で送金してしまった場合、返金を求める法的な手がかりは複数あります。ただし、いずれも結果を約束するものではなく、資金がどこまで追えるかによって見通しは変わります。


返金請求の根拠となる法律

投資詐欺の被害で持ち出されることが多いのは、次の5つです。

詐欺罪(刑法246条)は、人をだまして財産を交付させる行為を処罰する規定です。利益が出ていない口座で残高だけを表示して入金させる行為は、この構成要件にあたる可能性があります(刑法/e-Gov法令検索)。

不法行為にもとづく損害賠償請求(民法709条)は、違法な行為で損害を受けた側が、その賠償を求められるという規定です。だました相手が特定できれば、民事で金銭の賠償を請求する道が開けます(民法/e-Gov法令検索)。

不当利得返還請求(民法703条)は、法律上の理由なく他人の財産で利益を得た者に、その返還を求める規定です。受け取る筋合いのないお金を持っている相手に、返すよう求める根拠になります。

振り込め詐欺救済法は、詐欺に使われた口座を凍結し、残っている資金を被害者へ分配する仕組みを定めた法律です。口座に資金が残っているかどうかが分かれ目になるため、時間との勝負になります(振り込め詐欺救済法/e-Gov法令検索)。

金融商品取引法は、無登録での勧誘を禁じています。日本の居住者に投資を勧誘するのに登録がない場合、その勧誘自体が法に反している可能性があります。


「被害金を取り戻せる」とうたう相手への注意(二次被害)

ここで一つ、注意していただきたいことがあります。投資詐欺の被害後には、被害の回復をうたって近づいてくる二次被害の手口が存在します。

実際に「QRT」と詐欺という言葉を組み合わせて検索すると、被害者を装って書かれたブログ記事が出てきます。「自分も同じ被害に遭った」と共感を示したうえで、個別のメッセージアプリへ誘導するという構成です。同じ書き手が、業者名だけを差し替えて似た記事を大量に公開している例も確認できました。中には「公的機関がすでに詐欺であると公表している」といった、裏づけの確認できない断定を載せているものもあります。

金融庁も、被害回復をうたって接近してくる者の中に詐欺グループの一員が含まれていた事例があると注意を促しています(金融庁 投資詐欺等に関する相談事例等)。また日本弁護士連合会は、SNS上で弁護士になりすまし、偽造した身分証を示して信用させる手口についても注意喚起を出しています。

相談先を選ぶ際は、その相手が弁護士資格を持っているかを確かめる方法があります。日本弁護士連合会の弁護士検索で、氏名や所属から確認できます。名前と登録番号が実在していても、SNSのやり取りだけで本人と判断するのは避けたほうがよいでしょう。


QRTの被害を相談できる法律事務所

QRTを名乗る勧誘のように、海外の実在企業の名称が使われた投資詐欺では、送金先をどこまでたどれるかが返金の見通しを左右します。こうした事案を扱っている事務所の一つに、ART法律事務所があります。

同事務所は、詐欺被害の回復を取扱業務の一つとしており、初回の相談は無料、秘密厳守で対応しているとされています。また、悪質な業者の手口や実態について、金融庁等への情報提供活動も行っているとのことです。家族に知られたくない、まず話だけ聞いてみたいという段階でも相談は可能とされています。

被害の状況を整理したい方は、QRTを名乗る勧誘の被害回復についてART法律事務所の無料相談を利用するという方法があります。

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QRTと同じ「実在企業なりすまし型」の関連記事

QRTのように、実在する海外の運用会社や取引会社の名称を借りた投資勧誘は、これまでにも繰り返し確認されてきました。詐欺ったーでは、同じ構図の事案を継続して取り上げています。

米国の高速取引会社の名称が使われた事例については、HRTを名乗る投資詐欺の手口と返金方法で詳しく解説しています。同じく大手クオンツ運用会社の名称が使われたケースは、TWO SIGMA(偽)の投資詐欺と被害の実態で扱っています。

いずれの記事も、勧誘の入口から出金拒否に至るまでの流れがQRTのケースと重なります。手口の共通点を知っておくことは、次の勧誘を見抜く助けになります。

QRTに関するよくある質問


Q. LINEグループでQRTの名前を出されました。本物かどうか確かめる方法はありますか?

あります。受け取った内容やスクリーンショットを [email protected] へ転送すれば、QRT自身に真偽を確認してもらえます。その際、勧誘者のアカウント名、案内されたサイトのURL、指定された振込先の名義もあわせて伝えると、判断がつきやすくなります。なお、返信を待っている間も、追加の入金には応じないでください。確認が取れる前に送金してしまうと、後から取り戻すことが難しくなります。


Q. QRTから在宅ワークや求人の話を持ちかけられました。これも詐欺ですか?

QRTは、投資勧誘だけでなく在宅ワークを含む求人をかたる手口についても、公式に注意を呼びかけています。見分ける手がかりは、投資の勧誘の場合と共通しています。最初の接触がSNSやメッセージアプリであること、公式のメール以外へ会話を移そうとすること、そして途中で何らかの支払いを求められることです。QRT自身も、メール以外の経路へやり取りを移そうとする相手には強い警戒を持つよう案内しています。


Q. 金融庁の無登録業者一覧にQRTの名前がありません。安全ということですか?

いいえ、安全を意味するものではありません。この一覧は、警告書を出した時点で無登録営業が確認できた相手に限って掲載されているものです。確認するのであれば、無登録の一覧に「載っていない」ことを見るより、金融庁の登録業者一覧に「載っている」ことを確かめるほうが確実です。勧誘してきた相手の商号で検索して見つからなければ、日本で登録を受けた業者ではないと判断できます。


Q. 「QRTの被害金を取り戻せる」というブログやLINEを見つけました。相談してよいですか?

慎重にご判断ください。被害の回復をうたって近づき、さらに費用をだまし取る二次被害の手口が確認されています。相談する場合は、弁護士本人に次の点を直接確かめるという方法があります。着手金の有無と金額、報酬の計算方法、費用の内訳が書面で示されるか、そして委任契約書を交わすかどうかの4点です。これらを口頭やチャットのやり取りだけで済ませようとする相手には、注意が必要です。

まとめ

QRTを名乗る投資勧誘について、この記事で確認した内容を整理します。

  • QRT(Qube Research & Technologies)はロンドンに拠点を置く実在の運用会社であり、名称を悪用されている側にあたります。
  • 同社は公式に、個人投資家向けのサービスもモバイル取引アプリも提供していないと表明しています。投資勧誘だけでなく、在宅ワークの求人をかたる手口にも警告を出しています。
  • 勧誘に使われているサイト(spdeedtdts06am.com)は、正規サイト(qube-rt.com)とは別物です。ドメインは2026年5月の登録で、登録者情報は公開されていません。
  • 香港警察は、QRTを装った偽アプリによる高額被害をすでに公表しています。
  • 金融庁の無登録業者一覧には、実在するクオンツ運用会社や高速取引会社の名称を騙る業者が繰り返し掲載されており、QRTの件も同じ類型に位置づけられます。
  • 返金を目指せる場合はありますが、被害回復が必ず保証されるものではありません。送金先に資金が残っているうちに動けるかどうかが影響します。

判断を誤ったご自身を責める必要はありません。設計された仕組みの中で、多くの方が同じ経過をたどっています。まずは手元の記録を残すところから始めてみてください。

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免責事項

本記事は、情報提供を目的としたコンテンツです。
本記事の内容は、公開日時点の法令および一般的な法的見解に基づいています。
個別の事案への適用については、必ず専門家(弁護士等)にご相談ください。
本記事の情報に基づいて行動した結果について、運営者は責任を負いかねます。


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