激震が走りました。
2023年10月18日、東京地方裁判所がエクシア合同会社に対して破産開始決定を下したのです。
約850億円の負債総額。約9,000名の被害者。
数字を見た瞬間、思わず目を疑いました。もう一度言います。
「約850億円」です。「約9,000名」です。
恐ろしい数字ですよね。
今、被害に遭われた皆様の胸中は、怒りと悲しみで押しつぶされそうなはずです。
この騒動の「あらすじ」と「債権者が今後どうあるべきか」「っていうか何したら良いの?」
といった点に関しては当メディアで既報の通り。
今回は
- 破産した理由
- どんな会社か
- 社長の菊池翔はどんな人か
- 管財人はいるのか
あたりにスポットライトを当てて破産に至った真相から今後の対応まで、被害者の皆様に寄り添いながら、可能な限り詳しく解説していきます。
エクシアの会社概要
エクシア合同会社。この名前を初めて聞いた時、誰が想像できたでしょうか。
これほどの大規模な投資詐欺に発展するなんて。
華やかな投資セミナーに豪華なオフィス、派手な経営陣。
全てが幻だったのです。
???「まぼろし~!!!」
私信>筆者の脳内I◯KOさんへ
ちょっと黙っててくださいプリーズ♡
設立はおよそ10年前、事業内容は投資関係
エクシアは2015年4月に設立。資本金100万円の合同会社でした。
「え?たった100万円?」
驚かれた方も多いでしょうね。
そうなんです。この程度の資本金で、なんと約850億円もの資金を集めることに成功したのです。
- 事業内容は「事業性融資」「個人向け不動産融資」「プライベートエクイティ投資事業」と謳っていました。
格好いい響きですよね。高級ブティックのような雰囲気すら漂います。
ただし実態は…。
正直に申し上げましょう。実際はもっと別の会社名が相応しかったんです。
「エクシア合同会社」ではなく「ポンジシア合同会社」。
笑えない冗談みたいな話です。
最大の問題は代表・菊池翔氏(通称:かけるん)が発案した「社員権販売スキーム」でした。
スキームの内容を見てみましょう。
- まず一般の人に会社の社員になる権利を販売します。 その集めた資金を英国のFX運用会社に貸し付けます。 そこで得た利益を配当として還元する…。
後にシンガポールに運用先を変更しましたが、驚くべきことに現地での運用実績が一切ありませんでした。
完全なるポンジ・スキームです。新規投資家から集めた資金で古参投資家への配当を賄う、使い古されてすり切れた雑巾みたいな投資詐欺の手口です。
投資のプロが見たら思わず失笑してしまうような、お粗末な実態でした。
豪華絢爛なオフィス展開
エクシアは都内一等地に本社を構えていましたが、2022年に大きな動きがありました。
墨田区から港区六本木への移転です。
社員のSNSには豪華な写真が並び、派手な企業イメージを確立していきました。
「高級外車に乗った社員」 「デザイナーズオフィスでの笑顔の集合写真」 「海外出張での贅沢な食事」
思い返すと、全てが演出だったのかもしれません。
資金調達規模は約850億
エクシアは、約9,000名の被害者から約850億円の出資を受け付けていました。
同様の投資詐欺のなかでも驚異的な数字です。背筋が凍る思いがしますね。
比較対象として、とある上場企業の年間売上高を見てみましょう。
老舗の百貨店「松屋」の2023年2月期の売上高は約830億円です。
つまりエクシアは、老舗百貨店の年間売上高を超える金額を、「投資」の名目で集めていたことになります。
事業実績は“19年12月期”で約24億
売上高の推移を見てみましょう。
2017年12月期には1億7,617万円。 そこから2019年12月期には24億186万円へと急成長を遂げました。
一見すると素晴らしい成長曲線です。
でも、考えてみてください。
約850億円を集めておきながら、売上高はたった24億円です…。
この時点で、誰かが気付くべきだったのかもしれません。
【エクシア】破産の経緯(何で潰れたの?)
まさか、こんな形で幕を閉じることになるとは。
850億円という途方もない被害総額に、9,000人もの被害者。
破産に至るまでの道のりを、丁寧に紐解いていきましょう。
経営悪化の要因=SNS?
2021年秋頃。SNS上で不穏な空気が漂い始めます。
「払戻しが遅い」 「担当者の対応が悪い」 「システムエラーが多発している」
そんな声が、徐々に大きくなっていきました。
そして2022年春。ついに重大な事態が発生します。
その結果、出資金の払戻請求が殺到したのです。
ここでエクシアの対応を見てみましょう。
- 「毎月の払戻額に制限をかけます」
この発表で、SNSは大炎上。
一方で「エクシアガチ勢」と呼ばれる信者たち(というか信じてないと自分の立場がヤバい出資者たち)による擁護の嵐も。
「かけるんを信じろ!」 「払戻制限は一時的な措置!」 「FUDを流すな!」
などなど、まさに情報戦の様相を呈していました。
毎日のように新しい情報が飛び交い、投資家たちの不安は増幅するばかり。
規制強化のダブルパンチも
こんな中追い打ちのドロップキックになったのが、2022年6月の証券取引等監視委員会の声明です。
「合同会社の社員権取得勧誘について金融商品取引法の規制強化を建議する」
この一報が業界に激震を走らせました。
エクシアの事業スキームは、もはや維持が困難になったのです。
【かけるん♡】菊池翔社長の素顔
今回のエクシア騒動の立役者は、業界でも「伝説の経営者」と呼ばれた「かけるん」こと菊池翔。
彼の素顔に迫ります。
プロフィール
菊池翔氏は、1977年生まれの47歳。
意外かもしれませんが、東京モード学園出身です。
肝心のFXトレードは独学で習得したと称していました。
果たして本当に独学だったのか、そもそもFXの実績はあったのか、今となっては全てが疑問符です。
ド派手な私生活
私生活がド派手なことも知られていましたね。
有名なエピソードは、歌舞伎町の人気キャバ嬢・一条響との交際。
その後さらにスケールアップし、大阪・北新地のナンバーワンキャバ嬢ひめかと交際を開始しています。
一晩で3,000万円使うなど、桁違いの豪遊ぶりで知られていました。
3,000万円て。
普通のサラリーマンなら、10年以上かかって稼ぐ金額です。
それを一晩で使い切る。
考えただけで目眩がしそうな金額ですよね。
SNSでの問題行動?
破産間近でも平然とSNSライブ配信。
その姿は、まるで「何も問題ない」かのよう。
強靭なメンタル。 いや、もはや異常と言っていいでしょう。
業界人も驚愕していました。
「まさかこのタイミングでライブ配信するとは…」 「被害者の気持ちを考えないのか」 「これはもう病気の域では?」
破産管財人と今後の対応
ついに動き出した法的手続き。
被害者の皆様にとって、希望の光となるのでしょうか。
それとも…。
冷静に見ていきましょう。
管財人選任結果は?
三宅・今井・池田法律事務所の小田切豪弁護士が破産管財人に選任されました。
実は、この人選には深い意味があるのです。
小田切弁護士は倒産事件のスペシャリストで、大型倒産案件を数多く手がけてきた実績の持ち主です。
つまり、裁判所はこの事件の重大さを十分認識していたということ。
それだけに、被害者の皆様への期待も背負っているはずです。
被害者対応は?
現在、破産管財人は専用のホームページを開設。
約9,000名の被害者に対する調査と対応を進めています。
9,000名という数字。
想像してみてください。
東京ドームのバックスタンド半分くらいが被害者で埋まってしまうのです。
その一人一人の人生を狂わせた。 その一人一人の夢を奪った。 その一人一人の信頼を裏切った。
考えれば考えるほど、言葉を失います。
この弁護士に文句言えばいいの?
「弁護士に直接抗議したい」
そんな気持ち、痛いほど分かります。
でも、残念ながらそうはいきません。
エクシアに債権を持っている人のみ、特設サイトから連絡可能です。
なぜでしょうか。
理由は簡単です。
- 破産管財人は「裁判所が選任した中立的な立場の管理人」だから。
倒産した会社の財産と借金を整理して、債権者に公平に配当するのがお仕事です。
要するに、エクシアの味方でもなければ、被害者の味方でもありません。
法律に基づいて粛々と手続きを進める、それが役割なのです。
エクシアの破産管財人を引き受けた弁護士事務所「三宅・今井・池田法律事務所」について
それでは、破産管財人として選ばれた弁護士事務所について見てみましょう。
その実力と経験値は、果たして850億円という巨額被害に対応できるのか。
徹底的に調査してみました。
三宅・今井・池田法律事務所の概要
事務所の設立は1972年。
50年以上の歴史を持つ老舗です。
企業法務を中心に取り扱い、東京都新宿区新宿に本社を構え、10名強の弁護士が在籍しています。
ここで注目したいのが「急激な事務所拡大を避けている」という点。
理由は、弁護士間の密接な連携を重視しているからです。
数を追うのではなく、質を追求する。 そんな姿勢が見えてきます。
三宅・今井・池田法律事務所の強みや評判
同事務所は、会社再建・事業再生分野で圧倒的な実績を持っています。
多数の著名企業の再建実績があり、管財人や債務者代理人、債権者代理人としての豊富な経験があります。
でも、それだけではありません。
事務所としての一体感を重視し、依頼者への最適な法的サービス提供に注力しています。
チームワークに定評のある事務所なのです。
管財人弁護士「小田切豪」先生のご経歴
小田切先生は、2007年に弁護士登録後、三宅・今井・池田法律事務所に入所しました。
2016年には同事務所パートナーに就任しています。
ここからが重要です。
民事再生手続、私的整理手続、破産手続等の倒産案件で、驚くべき実績を残してきました。
管財人、債務者代理人、専門家アドバイザーとして、常に第一線で活躍しています。
- 2022年には中小企業の事業再生等に関するガイドラインの第三者支援専門家候補者にも選任されている、企業倒産のプロです。
エクシア事件の破産管財人として、これほどふさわしい人物はいないでしょう。
【エクシア合同会社破産】よくある質問まとめ
ネット上では、被害者の怒りの投稿や口コミが飛び交っています。
今回、エクシアに騙されてこの記事にたどり着いた人のために、破産管財人弁護士の事務所が出している「よくある質問(令和6年10月25日更新版)」を元に、重要なポイントを分かりやすく解説していきます。
Q.そもそも破産手続ってなに?
巨額の借金を抱えて首が回らなくなった会社について、裁判所の監視のもとで財産と債務を清算する手続きです。
エクシアの場合、三宅・今井・池田法律事務所の小田切豪弁護士が破産管財人として選任されました。
弁護士事務所のCMなんかで聞く「自己破産」の企業版と思えばだいたい合ってます。
Q.被害金額はすぐに戻ってくる?
ここは正直に申し上げましょう。
即座の返金は、残念ながら期待できません。
なぜか?
順を追って説明します。
- まず破産管財人が会社の財産を換価(現金化)します。 次に税金など優先的に支払うべき債務を処理します。 その後、もし配当可能な原資が残っていれば…。
そう、「もし」なのです。
残った原資を債権者に平等に分配する。 それが破産手続きの基本的な流れです。
ぶっちゃけ財産を大幅に超える金額の借金があるから破産するわけです。
一般的な企業の破産では、残った金額を配当しても破産した会社に対する債権には遠く及びません。
Q.私だけ先に返してもらえない?
お気持ちは本当によく分かります。
「私は早くから被害を訴えていた」 「証拠も全部揃っている」 「生活が本当に苦しい」
切実な声も多いです。
でも、答えは「絶対にできません」。
破産手続では、すべての債権者を平等に扱うのが大原則。
訴訟を起こしている人でも、特別扱いはありえないのです。
Q.破産管財人に直接連絡していい?
法律事務所に直接電話したくなる気持ち、痛いほど分かります。
でも、それは避けてください。
専用ホームページの問い合わせフォームからのみ受け付けてくれます。
法律事務所への直接の電話や訪問は対応不可となっています。
そりゃあ、9,000人の被害者全員が個別に連絡してきたら…。
想像つきますよね。
事務所機能が完全に麻痺してしまいます。
Q.引っ越して住所が変わったけど?
債権者申請フォームが用意される予定なので、そちらから連絡してください。
新しい個人情報を入力し、住所変更を証明する書類と投資の証拠書類を提出することになります。
Q.詐欺師から「優先的に返金できる」って連絡が…
ここは声を大にして言わせてください。
それは100%詐欺です!!!
破産管財人が特定の債権者だけに優先的な支払いを持ちかけることは、絶対にありません。
むしろ、そんな連絡をしてくる輩こそ、二次被害をねらう詐欺集団です。
すでに被害に遭われている皆様は、甘い言葉に注意し、これ以上の被害は避けてください。
Q.菊池社長も破産するの?
現時点での社長個人の破産申立てはありません。
今後申し立てられるかどうかも不明な状況です。
Q.他の幹部への訴訟はどうなる?
エクシア合同会社の破産は、個人である幹部への訴訟には影響しません。
幹部個人から何らかの被害を受けた場合は、別途責任を追及できる可能性があります。
この場合はぜひ専門家に相談してみてください。
Q.いつになったらお金が戻ってくるの?
最も切実なのが、騙された被害の回復です。
でも、ここは正直に申し上げましょう。
裁判所は「配当できない可能性が高い」と判断しています。
配当の可能性が出てきた場合は、改めて債権者に連絡が届く予定です。
現時点では、具体的な時期も金額も未定というのが実情です。
まとめ
エクシア合同会社の破産。
日本の投資詐欺史上最大級の事件となりました。
約850億円という信じがたい被害総額に、 約9,000名という途方もない被害者数。
現在は破産管財人による調査が進められていますが、被害回復には相当な時間がかかる見込みです。
- そして何より懸念されるのが、二次被害の可能性。
「優先的に返金できる」 「特別な情報がある」 「確実な回収方法を知っている」
そんな甘い言葉に、どうか惑わされないでください。
被害に遭われた方々は、破産管財人からの正式な連絡を待ちつつ、二次被害には十分な警戒が必要です。
今後も新たな動きがあれば、随時情報をアップデートしていきます。
最後に。
被害に遭われた皆様へ。
どうか希望を捨てないでください。 一歩一歩、前を向いて歩いていきましょう。
私たちも、できる限りの情報提供を続けていきます。