
本件のポイント
- 株式会社MIXIが2026年6月11日、mixicojp.work を実名で挙げて注意を呼びかけた
- SNSのPR案件から入り、報酬の振込先を登録させたうえで「番号が違う」「口座が止まった」と重ねて入金を迫る流れ
- 支払いは銀行振込が中心のため、振込先の口座が手がかりになる場合がある。ただし、お金が戻ることまで約束されるわけではない
株式会社MIXIを名乗る担当者から副業やPR案件を持ちかけられ、報酬を受け取るはずが逆に振込を求められた——そうした相談が続いています。
この案内に使われていたページのアドレスが mixicojp.work でした。同社は自社サイトの告知欄でこのアドレスを挙げ、自分たちとは無関係だと明言しています。
つまり、実在する上場企業のほうも名前を勝手に使われた側にあたります。
副業をきっかけにした被害は、応じてしまった人の不注意ではありません。実在企業の看板と契約書を組み合わせ、疑いにくい形に整えたうえで持ちかけられています。
振り込んでしまったお金は、送金先の口座をたどることで取り戻せる場合があります。動き出す時期が早いほど選べる手段は増えるものの、お金が戻ることまで約束されるわけではありません。
「mixicojp.work」とは?株式会社MIXIとは無関係のページ

このアドレスは、実在する株式会社MIXIの名前と企業情報を許可なく借りて作られたものです。
正規のサービスに見せかけるため、上場企業の看板がそのまま流用されていました。まずは、本物の会社とこのアドレスの関係を整理します。
実在する株式会社MIXIは東証プライム上場企業で、本件とは無関係
本物の株式会社MIXIは、東京証券取引所プライム市場に上場している企業です。
1999年に事業を始め、本社は東京都渋谷区。証券コードは2121で、情報・通信業に分類されています。
手がけているサービスは幅広く、代表格はSNS「mixi」とスマホ向けゲーム「モンスターストライク」。
ほかに、家族で写真や動画を残せる「家族アルバム みてね」や、プロサッカークラブ「FC東京」の運営にも関わっています。
本物のアドレスは 株式会社MIXI 公式サイト(mixi.co.jp)です。
ここで挙げた企業と、本記事が扱うサイトはまったく別のものです。企業名や役員の情報が載っていたのは、それらが無断で持ち出されていたからにすぎません。
同社は名前を悪用された立場にあり、副業案件の勧誘にも金銭の授受にも関与していないとされています。この点を最初にはっきりさせておきます。
mixicojp.work について確認できたこと
調査時点で判明している事項を並べると、運営者につながる手がかりがほとんど存在しないことがわかります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイトのアドレス | mixicojp.work(および配下のページ) |
| かたられた企業 | 株式会社MIXI(本物は mixi.co.jp) |
| 確認された名乗り | 株式会社ミクシィ、ELCジャパン合同会社(SNS上の被害報告より) |
| 運営会社の表示 | 確認できず |
| 所在地・代表者・連絡先 | いずれも確認できず |
| ドメイン取得日 | 2026年5月20日 |
| ドメイン情報の更新日 | 2026年6月19日 |
| ドメイン管理事業者 | Spaceship, Inc. |
| 名前解決に使われている事業者 | Cloudflare |
| 登録した人の情報 | 代理サービスにより非開示(登録国はアイスランドと表記) |
| 2026年8月時点の状態 | ページが表示されない状態 |
| 主な接触経路 | InstagramやXのダイレクトメッセージ、その後LINEへ移行 |
| 支払い方法 | 銀行振込 |
会社名も住所も代表者名も見当たらない一方で、利用者には銀行口座の情報を登録させていた点が、この案件の特徴といえます。
副業・PR案件から送金に至るまでの手口を時系列で解説

報酬を受け取るはずの手続きが、いつのまにか支払う側の手続きへすり替わっていく——これが本件の骨格です。
報告されている流れを5つの段階に分けて追いかけます。お金を出させる口実が、段階ごとに乗り換わっていく点に注目してください。
ステップ1:SNSのDMで副業・PR案件を持ちかける
入り口はInstagramやXに届く一通のダイレクトメッセージです。
「商品を紹介してほしい」「動画を載せるだけで報酬が出る」といった、手間の少なそうな依頼が示されます。
この時点では企業名がまだ前面に出ないこともあり、よくあるPR依頼との区別がつきにくい状況。返信した人だけが次の段階へ進みます。
ステップ2:LINEへ誘導し、業務委託契約書を見せて信用させる
やり取りの場がLINEへ移り、書面が出てくることで警戒がゆるみます。
1投稿あたりの単価、年間の契約期間、合計の報酬額。こうした条件が業務委託契約書の形で先に提示されます。
SNS上の報告では、化粧品ブランドのPR案件として持ちかけられた例も挙がっていました。「大手企業を通して入金される」と説明され、安心感がさらに上乗せされる構図です。
大手の名前と書面を先に見せる進め方は、Amazon Handmadeを装った副業案件でも似た形で報告されています。
ステップ3:報酬の受け取り手続きと称して口座情報を登録させる
「報酬を振り込むために登録が要る」と案内され、問題のページで銀行口座を入力させられます。
開いた画面には会社の沿革や役員の顔写真が並び、上場企業の公式ページのような体裁が整えられていました。
ただし、それらは本物のサイトから抜き出されたものです。実在企業の情報が載っていること自体は、そのページが正規である証拠になりません。
ステップ4:「口座番号に誤りがある」として審査料・手数料を請求する
登録を終えた直後に、口座番号が違うので振込ができないという連絡が入ります。
訂正の手続きが必要だとして、審査料や手数料という名目で入金を求められる展開です。報酬を受け取る側だったはずが、ここで支払う側に回されます。
SNS上には、送金先の口座番号をわざと1桁ずらして登録させる仕掛けだったのではないか、という指摘も投稿されていました。
正規の企業が、振込先を直すというだけの理由で利用者に高額な費用を負担させることは考えにくいところです。
ステップ5:「口座が凍結された」として同額の入金を求める
最後に持ち出されるのが、口座が止まったという説明です。
番号の相違が原因で止められた、同じ金額を入れれば全部返したうえで解除する——このように案内されたという報告があります。
応じても手続きは終わりません。別の名目が用意され、請求が繰り返されていきます。報酬も、それまでに支払った金額も戻らないまま時間だけが過ぎていく流れです。
受け取るはずの立場で振込を求められた時点が、いったん立ち止まる分岐点になります。
すでに入金してしまった場合は、MIXIをかたる副業案件の返金についてART法律事務所に無料で相談するという選択肢もあります。
株式会社MIXIが公式サイトで発出した注意喚起

本件は、名前を使われた企業自身が公表している数少ない事例にあたります。
企業側が実名で公表しているという事実は、そのページの性格を判断するうえで大きな材料になります。
2026年6月11日にmixicojp.workを実名で公表
株式会社MIXIは2026年6月11日付の告知で、mixicojp.work とその配下のページを不審なものとして挙げました。
告知では、自社の会社案内や役員の顔写真が許可なく載せられていること、そしてMIXIグループとの関わりが一切ないことが説明されています。
あわせて、当該ページを開かないこと、個人情報を打ち込まないことも求められています。
問い合わせフォームの利用、金銭の支払い、ファイルの取得についても同様に、控えるよう呼びかけられました。

この公表からわかるのは、少なくとも当該ページを介した報酬の案内や支払いの依頼が、同社の業務ではないという点です。
公式が案内している「入力してしまった場合」の対処
同じ告知には、すでに情報を打ち込んでしまった人へ向けた具体的な案内も含まれています。
この部分は見落とされやすいのですが、被害の広がりを抑えるうえで重要な内容です。要点は次の4つ。
- パスワードを打ち込んでいた場合は、速やかに変更しておく
- 打ち込んだ情報の中身によっては、クレジットカード会社や取引先の銀行へ連絡を入れる
- 身に覚えのない請求や不審な連絡が届かないか、しばらく注意を払う
- 金銭的な被害が出た、あるいは疑わしいときは、最寄りの警察署か都道府県警察本部が設けているサイバー犯罪の相談窓口へ相談する
口座情報を登録しただけで送金には至っていない段階でも、この4点は当てはまります。入力した情報がどこまで及んだかを整理しておくと、その後の相談がスムーズに進みます。
mixicojp.work に関する口コミ・被害報告

被害の記録が見つかったのはXのみで、他のチャネルでは確認できませんでした。
調査の対象はX、Yahoo!知恵袋、掲示板の3つ。それぞれの結果を分けて記載します。
Xで共有されている被害の記録
Xでは、実際に案件を持ちかけられた人による注意喚起の投稿が確認できました。
1件目は、送金用の口座番号を登録させたあとで番号を1桁ずらさせる仕掛けだった、と指摘する内容です。掲載されていた役員や住所が本物の会社と同じだったことにも触れられていました。
2件目は、被害に遭いかけた経緯を段階ごとに書き残したものです。
InstagramのDMで化粧品ブランドのPR案件を受け、LINEへ移動。契約書を見せられ、大手企業を経由して入金されると説明された、という流れが記されていました。
この投稿で目を引くのは、相手が名乗った社名が一つではなかった点です。株式会社ミクシィのほかに、ELCジャパン合同会社という名前も使われていました。
検索すればそれらしい結果が出る社名を混ぜることで、確認したつもりの人を通過させる作りになっています。
そして、この投稿者が異変に気づいた決め手は法人番号の照合でした。この確認方法については後述します。
Yahoo!知恵袋・掲示板では確認できなかった
Yahoo!知恵袋と掲示板については、該当する投稿を確認できませんでした。
知恵袋で見つかったのは、SNS「mixi」への不正ログインや認証コードに関する質問など、本件とは別の話題ばかり。5ちゃんねる等の掲示板でも該当する書き込みは見当たりません。
ここで注意したいのは、口コミが少ないことを「大丈夫そう」の材料にしないことです。
そもそも、このアドレスが世に出てから注意喚起までは3週間ほどしかありません。体験談が書き込まれ、検索で拾えるようになるまでには、どうしても時間がかかります。
被害の情報が出そろっていない時期こそ、判断材料が乏しい状態で送金まで進んでしまいやすい局面といえます。
独自調査でわかった mixicojp.work の実態

ドメインの登録記録をたどると、運営者につながる情報が意図的に伏せられていることがわかります。
公開されている登録情報と、サイトの現在の状態を順に見ていきます。
ドメインの登録記録からわかること
取得は2026年5月20日。2026年8月8日の時点で、運用期間は約80日にとどまります。
ここで注目したいのは、登録した人の欄です。代理サービスによって伏せられており、氏名も住所も連絡先も読み取れません。
代理登録そのものは一般のサイトでも広く使われている仕組みです。ただ、ページ上にも運営会社の表示がなく、登録記録からも運営者にたどり着けない状態となると話は変わってきます。
利用者に銀行口座を登録させ、そのうえで送金まで求めるページとしては、誰が運営しているのかを知る術がないという点が引っかかります。
なお、この登録内容については ART法律事務所による株式会社MIXI名義の偽サイトの解説 でも同じ結果が示されています。
サイトはすでに停止している
2026年8月の時点で mixicojp.work を開いても、ページは表示されません。
ドメインの状態は「クライアントホールド」と記録されています。これは登録情報を管理する側の操作により、そのドメインで名前解決が行われなくなっている状態を指します。
時系列にすると、5月20日に取得、6月11日に企業が注意喚起、6月19日に登録内容が更新、そして8月時点では表示されない状態、という並びになります。
この事実は、被害回復を考えるうえで実務的な意味を持ちます。画面から運営者を割り出す道は、すでに閉じているということです。
登録した人は代理サービスで伏せられ、ページも残っていません。となると、手がかりとして残るのは実際にお金が入った銀行口座のほうになります。
振込先を控えてある場合は、mixicojp.workへの送金についてART法律事務所に相談することで、取り得る手続きを整理できます。
金融庁の登録の有無では判断できない類型である
本件は投資の勧誘ではないため、金融庁の登録業者一覧と照らし合わせても答えが出ません。
投資名目の詐欺であれば、金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」との照合が有効な確認手段になります。
ところが今回持ちかけられていたのは副業の報酬であり、金融商品の取引ではありません。金融庁の一覧に載っていないこと自体は、そもそも判断材料になりにくい構図です。
では何で確かめればよいのか。名乗られた社名そのものを、公的なデータベースで照合する方法があります。先ほどのX投稿者が使ったのも、この手順です。

正規の株式会社MIXIと見分ける3つの確認手順

アドレス、社名、企業の告知欄。この3つを順に確かめれば、名前を借りただけのページはふるい落とせます。
実在企業をかたる案件では、載っている情報が本物であるがゆえに違和感を持ちにくくなります。だからこそ、掲載内容ではなく外側から照合する手順が効きます。
①案内されたURLが「mixi.co.jp」かを確かめる
最初に見るべきは、開かされたページのアドレスそのものです。
本物の株式会社MIXIが使っているのは mixi.co.jp。今回問題になったアドレスは、末尾が .work という別物でした。
並べてみると、mixi・co・jp という文字列を1本につなげ、正規のものに似せてあることがわかります。文字列が似ていることは、同じ運営者である根拠になりません。
確認する場所は、ブラウザのアドレス欄です。ページ内に書かれた会社名や「公式」の文字ではありません。
スマホでLINEから開いた場合、アドレス欄が縮んで表示されることがあります。その場合はメニューから「ブラウザで開く」を選び、全体を表示させてから読み取ってください。
②名乗られた社名を国税庁の法人番号公表サイトで照合する
相手が名乗った社名は、国が公開しているデータベースで無料で照合できます。
使うのは 国税庁法人番号公表サイト です。商号や所在地を入れると、登記されている法人の名称・所在地・法人番号が表示されます。
本件で意味を持つのは、名乗られた社名が複数あったという点です。前述のとおり2つの社名が使い分けられており、片方だけを調べても不審さが表に出てきません。
照合する際は、次の3点を突き合わせます。
- 名乗られた商号が、その表記のとおり登記されているか
- 登記上の所在地が、案内された住所と一致しているか
- 取引の相手として示された法人と、報酬の振込元が同じ法人か
照合の結果を手にしたうえで株式会社MIXIへ直接問い合わせたところ、相手からの返信が途絶えたと書かれています。
実在する法人の名を借りる進め方は、JAタウンを装った偽サイトでも報告されている構図です。
③企業の公式サイトに注意喚起が出ていないか確かめる
大手企業は、名前を使われた事実に気づくと自社サイトで告知を出すことがあります。
探す場所は、公式サイトの「お知らせ」「ニュース」「重要なお知らせ」といった欄。今回のケースも、そこに掲載されていました。
検索窓に社名と「注意喚起」「なりすまし」を組み合わせて入れる方法でも見つかります。
ただし検索結果の上位に偽のページが並ぶこともあるため、開くのは公式ドメインのものだけにしてください。
告知が見当たらないときは、企業に気づかれていない段階という可能性も残ります。告知がないことを、安全である裏づけとして扱わないでください。
送金してしまったときに取る4つの手順

本件は銀行振込による被害のため、まず追加請求を止め、次に振込先の口座を押さえる順序になります。
相手はすでに手元の資金を動かしにかかっています。順序を間違えると、押さえられるはずの口座を取り逃がしかねません。
1.「凍結解除費用」の名目に応じない
止めるべきは、口座が凍結されたという説明に続く追加の入金です。
本件で確認された名目は、審査料、手数料、そして凍結された額と同じ金額の入金でした。「入れれば全部返す」と説明されても、そこで手続きが終わった例は報告されていません。
返金の条件として新たな支払いを求められている時点で、その先も同じ形が続くと考えたほうが安全です。
すでにやり取りが続いている場合、相手をその場で問い詰める必要はありません。返信を止め、記録を残すことを先にしてください。
2. 振込先の銀行名・口座名義・口座番号を控え、金融機関へ連絡する
本件で最も重要な資料は、お金が入った先の口座情報です。
運営者は登録記録の上で伏せられ、ページも表示されなくなっています。残った手がかりは、振込の履歴に記録された相手方の口座になります。
控えておく項目は次のとおり。
- 振込先の金融機関名と支店名
- 口座の種別と番号
- 受取人の名義(カタカナ表記のまま)
- 振込を実行した日時と金額
そのうえで、自分が利用している金融機関の窓口や相談ダイヤルへ連絡します。
振込先が詐欺に使われている疑いがあると伝えれば、相手方の銀行へ情報が共有され、口座が止まる場合もあります。
ここは時間との勝負になる部分です。引き出された後では手の打ちようが狭まるため、早く動くほど選択肢は残りますが、資金が戻ることまで約束されるわけではありません。
口座の情報が手元にそろっている段階であれば、振込先の口座がわかる場合の対応をART法律事務所に相談することで、進められる手続きを整理できます。
3. 表示されなくなったページの代わりに、手元のやり取りを保全する
問題のページは2026年8月時点で開けないため、画面を撮って残すことはもうできません。
だからこそ、自分の端末に残っている記録の価値が上がります。相手がアカウントを消したり、トークを削除したりする前に確保してください。
- 最初にDMが届いたSNSのアカウント画面とプロフィール
- LINEでのやり取り全体(相手のID・表示名が写る部分を含む)
- 提示された業務委託契約書のファイルや画像
- 口座情報を登録した画面の控え、送信内容がわかるメール
- 振込明細、通帳の該当ページ、ネットバンキングの取引履歴
LINEのトークは、端末の機種変更や再インストールで消えることがあります。スクリーンショットのほか、トーク履歴の書き出し機能でファイルとしても残しておくと安心です。
相手をブロックする前に、必要な画面を撮り終えたかどうかを確かめてください。ブロック後は相手のプロフィールを確認できなくなる場合があります。
4. 警察のサイバー犯罪相談窓口と消費者ホットラインに相談する
株式会社MIXIの告知でも、被害が出た場合は警察へ相談するよう案内されています。
連絡先は、最寄りの警察署か、各都道府県警察が設けている窓口です。所在地ごとの一覧は 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」 にまとまっています。
詐欺かどうか判断がつかない段階であれば、消費生活センターという選択肢もあります。
局番なしの188へかけると、住んでいる地域の窓口につながります(国民生活センター「消費者ホットライン」)。
なお、SNS発の副業勧誘については公的機関からも注意が出ています。
該当するのは 警察庁「副業を名目とした詐欺」や 消費者庁「SNSなどを通じた投資や副業といった『もうけ話』にご注意ください!」 です。
ただし、これらの資料が今回のアドレスを名指ししているわけではありません。同じ型の手口についての一般的な注意喚起として参照してください。
銀行振込による被害で返金を目指せるか

支払いが銀行振込だったことは、被害回復を考えるうえで有利に働く要素です。
暗号資産やギフト券と違い、振込には相手方の口座という受け皿が必ず残ります。制度上の手当ても、この形に対して用意されています。
振り込め詐欺救済法にもとづく口座凍結と被害回復分配金
詐欺に使われた口座は、金融機関の判断で取引を止められる場合があります。
根拠となるのが振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)です。
流れとしては、口座が止まったあと、預金保険機構の公告を経て権利が確定します。口座に残っていた金額が、被害額の割合に応じて支払われる仕組みです。
制度の概要は全国銀行協会の解説が参考になります。
ここで押さえておきたいのは、返ってくる原資がその口座に残っていたお金に限られるという点。すでに引き出されていれば、分配の対象になる残高そのものが存在しません。
入金した直後に不審だと気づいたケースほど、残高が残っている見込みは高くなります。逆に日数が空くほど厳しくなるのが実情です。
なお、支払いがクレジットカードだった場合は、カード会社への申出という別の道もあります。本件は振込が中心のため、ここでは深く立ち入りません。
弁護士会照会による振込先口座の名義人特定
相手の氏名も住所もわからない状態でも、口座から名義人にたどり着ける場合があります。
弁護士が依頼を受けたうえで、所属する弁護士会を通じて金融機関に照会をかける制度です。弁護士法23条の2にもとづくもので、日本弁護士連合会が制度の説明を公開しています。
本件では、この制度が持つ意味が特に大きくなります。ページが停止し、登録記録も伏せられている以上、運営者を割り出す入口が口座しか残っていないためです。
照会で名義人が判明すれば、その相手に対して返還を求める交渉や訴訟へ進める余地が出てきます。ただし、名義が第三者から集められたものであるケースも珍しくありません。
刑法246条・民法709条という位置づけ
報酬を装って金銭を出させる行為は、法律上どう扱われるのか。ここを押さえておくと、相談時の説明がしやすくなります。
人をだまして財物を交付させる行為は、刑法246条の詐欺罪にあたります。刑事の枠組みであり、加害者を処罰するための規定です。
一方、支払ったお金を取り戻す場面で使われるのが民法709条の不法行為にもとづく損害賠償請求。こちらは民事の枠組みで、被害者側から請求する形になります。
警察へ被害届を出しても、それだけでお金が戻るわけではない点は理解しておいてください。処罰を求める手続きと、返還を求める手続きは別のものです。
ARTでは、詐欺被害の相談を初回無料で受け付けているとされています。窓口はLINEです。
費用や進め方については、着手の前に説明される運用とのこと。手元の記録がそろっていない段階でも、整理から始められます。
「返金できる」とうたう業者による二次被害に注意

本件のように大手企業の名前が絡む案件では、「その企業に話をつける」と持ちかける二次被害が起きやすくなります。
一度目で実在企業を信じてしまった経験は、二度目にも利用されます。名前の力が効くことを、相手側も知っているためです。
なりすまし型の案件で使われやすい誘い文句
「正規の会社を経由すれば取り戻せる」という説明には根拠がありません。
株式会社MIXIは名前を使われた側であり、送金先の口座にも、返金の手続きにも関与していません。同社を通じて資金が戻る仕組みは存在しないということです。
実際に見られる誘い文句には、次のような型があります。
- 「上場企業の担当部署とつながっているので話をつけられる」
- 「被害者を集めて一括で請求するので参加費だけ払ってほしい」
- 「調査費用を先に払えば送金先を特定して回収する」
いずれも、先に費用を求める形が共通しています。最初の案件と同じ構造だと気づけるかどうかが分かれ目です。
依頼する前に確かめたい3点
報酬を得て他人の法律事務を扱えるのは、原則として弁護士に限られます。
弁護士法72条は、資格のない者が報酬目的で示談交渉や債権回収を行うことを禁じています。「回収代行」を名乗る業者への依頼は、この規定に触れる恐れがあります。
依頼を検討する際は、次の3点を相手に尋ねてください。
- 担当する弁護士本人の氏名
- 所属している弁護士会の名称
- 弁護士としての登録番号
答えが返ってきたら、日本弁護士連合会が公開している弁護士検索と突き合わせます。実在の弁護士であれば、氏名と所属がここで確認できます。
即決を迫る相手ほど、この確認を嫌がる傾向があります。その場で契約せず、いったん持ち帰ってください。
よくある質問
案内されたURLが「mixicojp.work」でした。正規の株式会社MIXIのサイトと何が違うのですか?
ドメインそのものが別のものです。本物は mixi.co.jp で、今回のものは末尾が .work。
正規のドメインに含まれる要素をつなぎ合わせて似せた形ですが、それは同じ運営者である根拠になりません。
株式会社MIXIは2026年6月11日、このアドレスを実名で挙げています。
連絡してきた相手が「ELCジャパン合同会社」と名乗りました。実在しそうな社名なら信用してよいですか?
社名だけでは判断できません。Xの被害報告では、株式会社ミクシィとELCジャパン合同会社という2つの名前が使い分けられていました。
検索でそれらしい結果が出る社名を混ぜる手口です。国税庁法人番号公表サイトで、商号と所在地が登記のとおりかを照合してください。
mixicojp.work に口座情報やパスワードを入力してしまいました。何から手をつければよいですか?
株式会社MIXIの告知に沿うと、まずパスワードの変更です。同じものを他のサービスで使っている場合は、そちらも変えてください。
次に、入力した内容に応じてカード会社や取引先の銀行へ連絡を。送金までしていなくても、身に覚えのない請求が届かないかしばらく注意を払う必要があります。
「mixicojp.work」にアクセスしても表示されません。サイトが消えた以上、返金も難しいのでしょうか?
ページが停止していても、被害回復の道が閉じるわけではありません。本件は銀行振込による被害のため、手がかりは振込先の口座に残ります。
弁護士会照会で名義人を調べる方法や、振り込め詐欺救済法にもとづく口座凍結という選択肢も。ただし、口座から資金が引き出された後では回復が難しくなります。
株式会社MIXIに直接連絡すれば、支払ったお金を返してもらえますか?
返金の相手方にはなりません。同社は名前を無断で使われた側であり、送金先の口座とも無関係です。
なりすましの事実を伝える意味はありますが、資金の返還は別の手続きです。同社を経由すれば戻ると持ちかけてくる相手がいれば、二次被害を疑ってください。
まとめ

本記事で確認した内容を整理します。
- 同社は名前を使われた側であり、2026年6月11日付の告知で当該アドレスを不審なものとして公表している
- 手口はSNSのDMから始まり、LINE、契約書、口座登録を経て「番号の誤り」「口座の凍結」を口実に入金を重ねさせる流れ
- ドメインの取得は2026年5月20日。登録した人の情報は伏せられ、2026年8月時点でページは表示されない
- 金融庁の登録一覧では判断できない類型。名乗られた社名は国税庁法人番号公表サイトで照合できる
- 支払いが銀行振込のため、相手方の口座を足がかりに返還を求められる余地がある。ただし残高が引き出された後は回復が難しい
- 「正規企業に話をつけて取り戻す」と持ちかける相手には、弁護士本人の氏名・所属弁護士会・登録番号の確認を
受け取るはずの報酬に対して支払いを求められた時点が、立ち止まる分岐点になります。判断に迷う段階でも、記録を残しておくことが後の選択肢を広げます。
免責事項
本記事は、情報提供を目的としたコンテンツです。
本記事の内容は、公開日時点の法令および一般的な法的見解に基づいています。
個別の事案への適用については、必ず専門家(弁護士等)にご相談ください。
本記事の情報に基づいて行動した結果について、運営者は責任を負いかねます。









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